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【感想】伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』TWINS TELEPORT TALE

公開日: : 読書感想 ,

居ても立っても居られず、3回連続で読んでしまいました。こんなことは今までなかったことです。伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』はかなり切ないお話でした。

 

【感想】伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』TWINS TELEPORT TALE

 

かなりひどい目にあっている双子の兄弟が、ものすごい境遇なのに淡々と毎日を過ごしています。この話の語り手である常盤優我は、双子の兄の方です。弟は常盤風我です。

双子の父親はどうしようもないほど暴力的で、母親や息子達を殴ります。その母親は、子供たちが殴られていても助けてくれません。味方にはなってはくれず、いつも見て見ぬふりをしています。

最初、この男の子は理不尽な暴力に耐える二重人格なのかと思っていました。

ですが、違います。

弟が殴れているのをただ黙って見ているしかない状況で、

 

 助けて!

そう祈る自分がいた。たぶん頭にあったのは、テレビで観るスーパーヒーローの姿だ。最初は普通の人の姿だけど、自分や誰かがピンチになった時にポーズを決め、「変身」と口にする。その途端、一瞬にして姿が、その、正義の味方の格好に変わる。そして敵をばっさばっさと倒してくれるのだ。

『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 著 P.4より

 

この物語は、ヒーローになりたかった男の子実際にヒーローになったお話なのです。

 

この父親に殴られ続けている弟と、弟が殴られている状況をどうにかしたい兄は、不思議な力を手に入れます。

 

それは、

2人の誕生日に入れ替わりを体験することです。それで、二人は一時だけでも父親の暴力から脱出します

当時5歳の二人は何が起きたのか分かってはいませんでしたが、

 

再び、小学2年生のときに、別々の教室でそれぞれ授業を受けている最中に入れ替わりを経験したことにより、

この双子の兄弟は、この不思議な「入れ替わりの瞬間移動」を研究し始めます。

 

別段、顔がそっくりな双子なので、入れ替わっても特別になにか困るわけでもなく

いつも通りのひどい日々を過ごしていきます。

 

そしてそれは、ひどい生活の中での楽しみな出来事に変わりいろんなことを試していったために、ルールを見つけ出します

 

その瞬間移動には、

  • 双子の誕生日の午前10時10分から2時間おきに2回だけ発生すること。
  • 瞬間移動の際には、衣服や飲みものも一緒に移動します。
  • 縄でしばっていたり柱にしがみついていても移動します。
  • 友達と手を握っていれば友達も一緒に移動します。

 

これらの規則性があります。

兄の常盤優雅弟の常盤風雅は、

その不思議な力を使って弱きを助けるヒーローになったお話なのです

 

2人が色々なことを体験して、未来を切り開いていきます

そこに登場するのは、

どうしようもない悪い奴らdす。同情の余地もないほどの悪い奴らを、

2人は不思議な力を使ってどうにかします。

 

その時のあるエピソードが胸を打つものばかり。

読み手の心情によっては余りにのえげつなさに読むのが辛くなる人も多いでしょう。

ですが、

なんとなく私には報われなさではなく、やり切った感があります。

神さまに貰った力を正しく使い切ったお兄さんの物語のような気がします。

読み手がお兄さんなので、どうしても肩入れをしてしまいます。

 

そして、彼はある男の子のヒーローになったのでした。

 

彼らの正義感がむき出しにはなっていないところがまた魅力の一つなのです。

 

 

 

伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』の見どころ

 

Whoが?―――――Youが。

と背表紙にあるのですが、誰が?あなたが。

そうあなたがヒーローになったのです。

 

このお話には、一瞬だけ、伊坂幸太郎作品の『砂漠』の鳥居が出てきます。

あと、

 

 ふうん、と彼らは戴して面白くなさそうに応え、それから、「ユーガって伊藤さんが話してた案山子の名前と似ている」だとか、二人でぼそぼそ喋っていたが、もちろん僕には何の話か見当もつかない。

『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 著 P.195より

 

これは『オーデュボンの祈り』伊藤と案山子で、ファンサービスですよね。

 

そして、

「俺の弟は、俺よりも結構、元気だよ」のセリフが決め台詞です。

2人そろえば最強のタッグが組めます。

やっつけるのは父親のような、暴力を振るってもなんとも思ってもいない人。

困難な状況も二人で乗り切って来ました。

 

【感想】伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』のまとめ

 

気が付くとまたすぐにでも本を手にとってしまいます。

最初は読了感が悪かったのですが、何度も何度も読み返すとだんだんと印象が変わってきます。

是非読まれることをお勧めします。

 

 

伊坂幸太郎作品に出てくる登場人物たちと同じように、辛い状況にあるのに淡々と生活を送っている彼らを尊敬します。

お互いを尊重している訳でもなく、二人で力を合わせなかったら生きてこられなかったといいますが、

大きな兄弟愛を感じます。

 

『フーガはユーガ』公式HP

 

僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。

常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと。そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと――

『フーガはユーガ』公式HPより

 

一緒に二人の活躍を語りましょう。

 

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