『和菓子のアンソロジー』は和菓子をテーマにした短編集です。坂木 司さんを先頭に、小川一水、木地雅映子、北村薫、近藤史恵、柴田よしき、日明恩、恒川光太郎、畠中恵、牧野修先生たちが『和菓子』をテーマに心温まる作品を紡いでいきます。
坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー [ 小川一水 ]
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そもそもアンソロジーってなに?
和菓子のアンソロジーなんてきくと楽しそうですよね。ところで、アンソロジーってなんなのでしょうか。
実は、『古今和歌集』もアンソロジーなんです。1冊にいろいろな作家さんの作品がより集められているものをいいます。
・選集
・名詩選
・詞華集
・詩文選
・私花集
・精華集
・競作集
などもそうです。
和菓子のアンソロジーってどうやって生まれたの?
坂木 司さんが、『和菓子』をテーマにした作品を、
「この先生に書いてもらいたい・・・」というお願いに先生方がOKしてくださり出来上がりました。
心の中の素敵な菓子折りに入っていそうな作品たちです。
『空の春告鳥』 坂木 司 著
『和菓子のアン』のこれからどのように発展していくかというスタート地点のような作品だそうです。
「甘ったるくて、ハッピー」なんてワクワクします。
『トマどら』 日明 恩 著
刑事ものでした。和菓子と刑事さんってどういう展開になるのでしょうか。しかも、一物ありそうな作品です。
ですが、”トマどら”というどら焼きがものすごく食べたくなりました。
『チチとクズの国』 牧野 修 著
坂木司さんが、牧野氏に「できれば水まんじゅうを」とお願いしたそうです。
一見、重くのしかかりそうな題材なのに、とことん軽やかです。
自分では自殺するしかないと思えることでも、幸せに好転できる出来事なんだと驚かされる作品です。
チチ・・・軽いです。
『迷宮の松露』 近藤 史恵 著
この作品は多くの女性に共感できる作品なのではないでしょうか。わかる、わかるとうなずいてしまいますが、舞台はモロッコです。
『融雪』 柴田 よしき 著
おいしそうなものがいっぱい出てきます。新鮮な有機野菜に、最高のバター・・・そして宝物のような卵、ミルク、生クリーム、チーズ、ベーコン達が、主人公の手によって素晴らしい料理へと変身します。
春を楽しみに待っている女性達の物語です。格好いいです。
『糖質な彼女』 木地 雅映子 著
あー母親ってどうしょうもないなぁーと、そして、子供たちは頑張っているなーとしみじみ思った作品です。
子供の疲れた心を、和菓子作りが救っていきます。
あの和菓子、私も作りたいです。いい味をだしている先生が出てきます。
『時じくの実の宮古へ』 小川 一水 著
これは、SFなのかな?・・・SFなのだと思います。
何百年後の日本なのでしょうか。そんな世界と和菓子が共存しています。
問い続けるって素敵だな。と思える作品です。
『古入道きたりて』 恒川 光太郎 著
人生で一番うまかった甘味。友の言葉にその甘味を頬張るところを想像する・・・そして夜には ”古入道” が山を歩く・・・そんなところも想像します。
それを見に、40年もの歳月を経て旅立ちます。おはぎのおもてなしが日本人の心を繋いでいきます。
みんな生きていてもらいたかったです。
『しりとり』 北村 薫 著
こんな宝物のような俳句をもらったらうれしいだろうな。それを胸に生きていけるだろうなという、謎々としりとりが合わさった俳句のラブレターが出てきます。
辛さと切なさと愛おしさが素敵なんです。
甘き織姫 畠中 恵 著
謎解きと和菓子って『しゃばけ』シリーズに通ずるものがあります。ちょっと楽しい、安心感のある素敵な作品です。
和菓子への思い入れが『和菓子のアンソロジー』
何事にも思い入れがあるっていいことだなと思えてきます。だから楽しい冒険が生まれてくるのだと思います。自分の中の思い入れを極めていけば、世界は思いもよらなかった方向に行き着くかもしれません。

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