ブッカー賞(ブッカーしょう)受賞作家のカズオ・イシグロの本の感想です。まさかこんなに面白い本だったとは。。。。。『忘れられた巨人』の本の紹介をします。
【感想】カズオ・イシグロの『忘れられた巨人』
不思議な霧の立ち込めるイングランドのお話です。時代は、アーサー王が崩御した後のことです。
主人公のアクセルとペアトリスの老夫婦は、人口60人ぐらいの村に住んでいます。それが、家が立ち並ぶ村ではなく、みんなで穴に住んでいた感じです。ちゃんと建造物もある時代だったのですが、外敵から守るため、暖かさのためにそういう生活でした。
この老夫婦、なんだか住みずらそうな環境にいます。村のみんなに受け入れられていない感じなんです。
そして、息子がいたのですが、息子のことを2人とも覚えていないのです。その息子を尋ねて旅をするのですが、段々、なぜこの二人は村のみんなから疎まれていたのか?読んでいてえッ?って思われることが最後には解明されていきます。
『忘れられた巨人』からみるアーサー王伝説
アーサー王伝説は中世の騎士道物語です。円卓の騎士などのお話は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ローマ人が撤退した後のイギリス(410年)の話です。先住民ブリトン人(ケルト人)と侵入してきたアングロ・サクソン人とが戦争をしています。
この『忘れられた巨人』では、サクソン人がイングランドの支配者になる寸前のお話です。
ほんの僅かの間、サクソン人を破って平和を築いたブリトン人の英雄(アーサー王)は長く語り継がれ、アーサー王の伝説になったのでした。
日本では、この下記のシーンが有名ですよね。
アーサーがエクスカリバーを手に入れる経緯として様々な説明がされてきた。ロベール・ド・ボロンの詩『メルラン』では、アーサーは石に刺さった剣を引きぬいて王になることになっている。石に刺さった剣を引き抜くことは、「本当の王」、すなわち神により王に任命された、ユーサー・ペンドラゴンの正当な跡継ぎにしか出来ない行為だったという。
https://ja.wikipedia.org/より
この小説の中には、アーサー王の甥のガウェイン卿が登場します。ガウェイン(Gawain)は、アーサー王物語に登場する伝説上の人物です。
この騎士はこの物語でどうなっていくのでしょうか?
マメ知識!アーサー王伝説の中の円卓の騎士のランスロット
円卓の騎士の中の一人、ランスロットは、湖の騎士と呼ばれ、この世で最も誉れ高き最高の騎士ということになっています。
ランスロットはフランスのトランプではクラブのジャックのモデルなんです。今回の『忘れられた巨人』の小説には登場しないですけどね!
アーサー王の物語は結構好きな人が多いので様々な小説やアニメで取り上げられていますね。
ブッカー賞とは
ブッカー賞(ブッカーしょう)はイギリスの代表的な文学賞となっています。世界的な権威があると言われています。
その年に出版された、イギリス連邦およびアイルランド国籍の著者によって英語で書かれた長編小説のなかで、最も優れた長編小説に与えられます。
同一作家が複数回受賞することも可能だそうです。賞金は50000ポンド!凄いですね。以前は、2002年までは21000ポンドだったそうです。
カズオ・イシグロ氏は、2005年にブッカ―賞を獲得しました。
その年の大賞はThe Sea, ジョン・バンヴィル(『海に還る日』村松潔訳、新潮社、2007年)で、
カズオ・イシグロ氏の作品は『Never Let Me Go,』(『わたしを離さないで』土屋政雄訳、早川書房、2006年)です。
内容紹介
自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点。解説/柴田元幸。
Amazonより
この本ですね!今度読んでみます。楽しみです!
↓↓↓
【感想】カズオ・イシグロの『忘れられた巨人』~アーサー王伝説よりのまとめ
考えすぎて、楽しめなかったのですが、アーサー王の甥の騎士、ガウェイン卿が登場してから、この小説を読むのがワクワクしてきたのです。
戦争による復讐とホンの少しの希望。
夫婦の愛の物語かと思いきや、どうやら。。。。。最高に面白い作品です。
コメント