忘年会のお店と仕切りが下っ端の仕事と決まっている会社で嫌々ながら幹事をする新入社員のお話です。忘年会の幹事って大変ですよね。さてどのお店を選べばいいのでしょう。
忘年会の幹事になったら『幹事のアッコちゃん』を読もう
新入社員の久瀬涼平(くぜりょうへい)は、いわゆる「さとり世代」です。
12月になり、彼はそろそろ忘年会の計画を立てなくてはいけません。
簡単にネットで検索して、評判の良い場所を探せばいいや
って適当なことをしようとしていると、前年度幹事の大役を無事にこなした先輩にたしなめられます。
そこで思わずこの新人は反撃します。
「会社の内々の飲み会なんて本当にくだらないですよ。なんでそんなもののために貴重な時間を使わないといけないんですか。いくら僕が新人だからって、強要されるのは心外です。それ、モラハラじゃないですか」
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.10より
そもそも優秀な彼なんです。
・留学経験もあり、
・有名国立大学で1年から就活をしていた。
・経営学部を首席で卒業
・ゼミのレポートが業界紙にと取り上げられた。
・先見の明がある。
そんな彼が、大手商社の営業で上手くいかないので、鬱々している。
彼女にも振られたばかり。
さて、そんな彼がどんな忘年会をプロジュースするようになるのでしょうか。
『 幹事のアッコちゃん』は一目置かれる幹事になるためのコーチングの本
『ランチのアッコちゃん』を読んだことはありますか?その本から始まって、『3時のアッコちゃん』と続く3作目の本です。
はっきり言って、人生を変えたい人のコーチングの本です。
人生が上手くいかないと嘆いている、同僚や顧客を自分の世界に無理やり巻き込んで、
巻き込まれた方は、圧倒されながら、怒りながら、戸惑いながら、
アッコちゃんの世界に引きずりこまれていきます。
そして、最後にはぐっとくるんです。
美味しくてほろ苦いシリーズなんです。
今回、4日間、アッコさんと忘年会に参加し続けることになった涼平は最初、
なんなんだ。この女は自己啓発本に出てくる突飛なキャラクターかなにかか。一週間で人は変わるとか、本気で信じているんじゃないだろうな。涼平は本気でぞっとした。
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.21より
と本気でおかしなセミナーに誘われるのではと、逃げようとしていたんです。
アッコちゃんと、どのような忘年会に参加したのでしょうか
涼平とアッコちゃんの行った忘年会は下記の通りです。
1日目:串揚げの美味しいお店
「よく覚えなさい。いい店の見分け方は、そこに揺るぎなき看板メニューがあるってこと。下見する時に気をつけなさい。ここは、串揚げがとにかく美味しいのよ。あ、ちょうどきたわ」
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.25より
そこで、彼はなんとなく人を信じてみようかな・・・なんてことを学び、仕事でもそんな風に流れ、ちょっとまだこの経験ごときでは世界が変わるわけはない。と思いながらもすこし風向きが変わります。
「人を信じることで、案外あっさり世界は開けるものよ」
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.27より
2日目:ポテトサラダの食べ比べ
「うるさいわねえ。なんとなく、に勝るものはなしよ。すべては直感よ。自分が好きなものじゃないと、みんなも楽しめないじゃない?」
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.30より
「アッコが幹事をやる忘年会って面白いんだよなー。毎年、何が出るか予測不能なんだもん。それに変に気を遣わなくていいし、雰囲気いいし」
なんとなくだから、予測不能。そして本人にさえわからないから、周囲はもっと読めない――。
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.31より
このころになると、澄ましたタイプに見られていたのが、案外面白いねって取引先相手に言われるようになります。
3日目:焼き鳥屋
ただ美味しいものを黙々と食べる忘年会です。誰もが何もしゃべらなくても
「……幹事が気を遣わないから、私たちも気を遣わなくていいのかもね。じゃあ、おやすみなさい」
なるほど――。波長が似たタイプで固められれば、そう幹事がきりきり気を回さずとも自然と盛り上がるものなのかもしれない。
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.10より
と、涼平は、忘年会の席順に思いをはべらせます。
アッコさんは、ネガティブな印象を持っているもの。
それを、
5日間試すようにしています。
5日がちょうどいいの。長すぎず短すぎない。終わればのんびりできる土日が待っている。5日やって駄目だったら、元のペースに戻ればいいだけ。でもこうやって、日常をちょっと逸脱する経験って無駄じゃないし、なんだか面白くない?
『幹事のアッコちゃん』柚木麻子 著 P.40より
だから、あなたも、どうしてもお店が決まらなかったら最初選んだ無難なお店だって良いんだよって、涼平に語ります。
4日目:日本酒とチーズのマリアージュのお店
チーズに合うお酒を一瞬で見つけた涼平に
アッコさんは下記のことを言います。
自分が心の底から行きたい場所や食べたいものをイメージする。
↓
そこには必ず幹事さんの長所がでる。
↓
予算やみんなの嗜好を考慮する。
↓
調整する。
さて、涼平はどんな忘年会をプロジュースするのでしょうか。
忘年会の幹事さん必見の『幹事のアッコちゃん』のまとめ
幹事の極意は、
”幹事が他の誰よりも楽しむこと”
幹事が楽しんで、自分のフィールドにみんなを引っ張っていくとアッコさんは涼平に言います。
仕事でも同じだと。
相手に合わせるだけじゃなく、自分に巻き込むしたたかさ。
何があるかわからないのが忘年会の良いところなので、気楽に楽しい忘年会になれば良いですね^^