介護職員初任者研修の資格を取得して、介護の現場で働こうと考えている60代男性のスクールの様子を伝えています。講師の先生の今までの人生の職歴に世相が反映されていましたね。
介護職員初任者研修スクールの様子
介護職員初任者研修の受講9日目。今回の実習テーマは「整容」である。
今回の先生は50代前半位の女性の先生である。生徒は男性名、女性6名の
計10名である。コロナの影響で今回も全員マスク(着用義務)しているが、先生は少しぜんそくがあり呼吸が苦しくたいへんそうだった。
介護講師の今までの職務経歴
講義は、90分の授業を午前中2回、午後2回の計4回で、合計360分である。
1時限目は、講義である。まず先生の自己紹介から始まる。先生は、勉強が
嫌いで高校卒業後、普通の会社に就職した。
バブルの頃だったので楽に就職できたそうである。その後、結婚して退職し、子育てをして10年のブランクの後、再度就職しようとした。しかし、就職難で資格が必要と考えた。
そこでホームヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修)の資格を取ること
にしたが、途中で向いてないのでやめようかと挫折しそうになった。
しかし、思いもかけず利用者さんに感謝され、励まされてやめることを思い留
まり、資格を取った。
その後、介護療養型医療施設で働きながら、介護福祉士、ケアマネージャーの資格を取り現在に至る。
今は講師の仕事がメインのようで、明日から新型コロナの対策で学校が休みなので無職になるそうである。
介護職員初任者研修スクール9回目の午前中の講義・実習
自己紹介後の講義は、テキストに沿って、身支度、洗面、整髪、ひげの手入れ、爪の手入れ、化粧、衣服の着脱について学んだ。
2時限目からは実習である。最初は、全介助を要する利用者顔の拭き方であ
る。
ハンドタオルを熱めのお湯で濡らして、面を変えながら顔を拭くのだ。
このタオルの畳み方にはコツがある。まずタオルの短い方の両端を半分に
山折りに折る。次に長い方を半分に折る。さらにそのまた半分に折るのだが、
この時、右利きの人は右下にタオルの角が集まった部分が来るようにする。
この状態でタオルの上半分を反対側へ折り、右手で下から掴む。こうすると
タオルの角を一枚ずつめくって面を変えることができる。5面まで来たとこ
ろで一枚ひっくり返して次の面を使う。
こうしていくと12面まで面を変えることが出来るのだ。
顔を拭くときは、まず目頭から、目やにがついてることもあるし、眼病予防のためにも、右目、左目と面を変える。
さらに、額、鼻、頬、顎など面を変えて拭いていくのだ。次にくつ下、前開きの上衣、ズボンの着脱である。左片麻痺のある利用者(田中竹夫さん72歳)の設定だ。
片麻痺の場合、脱健着患が基本である。つまり、脱ぐ時は健側(元気な方から)から、着る時は患側(麻痺の方から)からという原則だ。
さらに介護者は田中さんの患側に立つ。くつ下の場合は、介護者は座っている利用者の左横に蹲踞の姿勢となる。
安定を保つため、介護者は椅子の左前脚に右脚をくっつけた状態であまり動かない。
くつ下を脱ぐ時は、右足、左足、脱ぐ時は逆に左足、右足の順番になる。前開き
の上衣の着脱は中腰だが、田中さんの左側に立ち、あまり動かないという点
は同じである。
やはり脱ぐ時は右袖、左袖、着る時は左袖、右袖の逆の順番になる。着る時、最初に左袖を通す際は、注意点がある。介護者は左手を上衣左腕の袖口から通して、田中さんの動かない左手を迎えに行く(左手同士握手するように)。
そして田中さんの指先を包むように持ち、爪を保護しながら袖を通すのだ。ズボンの着脱も同様に右脚、左脚の順で脱ぎ、左脚、右脚の順で履く。
介護職員初任者研修スクール9回目の午後の講義・実習
昼休みを挟んで、午後からはベッドを用意した。
午前中の田中竹夫さんから右片麻痺のある佐藤梅子さん(85歳)に設定が変わる。
3時限目は、前開きの上衣とズボンの着脱である。
午前中は、利用者が左片麻痺だったので介護士は左側にいたが、今度は右麻痺なのでベッドの右側にいる。
まずは上衣からであるが、今回はバスタオルを使った方法である。バスタオルを
畳んで佐藤さんの右側に置いておく。
ボタンをはずしてもらい、右襟を右斜め上に開き上げる。こうすると左側が緩くなるので、左袖を下に引っ張り、抜きやすい状態にしてから左腕を抜いてもらう。
衣服を内側に丸めるようにして佐藤さんの身体の下に入れる。左側臥位になってもらい、
身体の下に入れていた衣服とバスタオルを合わせて持ち、上にずらす。
バスタオルが背中を覆ったら、脱いだ衣服を内側に丸め、脱衣かごへ入れる。
着る服を選んでもらい衣服をかぶせてバスタオルを引き抜く。
右袖を通し、背中、わきの線を合わせ、身体の下に衣服の半分を入れ込む。仰臥位にして、身体の下から衣服を引き出す。左側袖口を佐藤さんの脇より下に引っ張って、左腕を通してもらう。
次にズボンの着脱である。脱ぐのは、左脚、右脚の順である。
着るズボンは、介護士がズボンの両足先側から両手を入れて腰側に通し、輪投げの輪のようにして佐藤さんのつま先にかぶせる。
佐藤さんの右足を介護者は右腕に乗せるようにして持つ。肘をベッドに付けて支点にして佐藤さんの右脚を浮かせる。
右脚ズボンを引き上げ、左脚はズボンに入れてもらう。最後に上衣の中に入れるか外に出すか確認の上、腰まで上げて終了である。
4時限目はゆかたである。基本は、前開きの上衣とだいたい同じである。だがこの時は、バスタオルは使わず、直接新しいゆかたに着替えた。衣服とバスタオルを合わせて持ち、上にずらす部分が、古いゆかたと新しいゆかたを合わせて持ち
上にずらすことになる。
注意すべきは背中にしわが寄りやすいことである。
左側臥位で右腕を通した後、首から腰のラインを念入りにしわを伸ばす必要
がある。
そして仰臥位になったとき、背中、腰、臀部あたりのしわになりやすい部分を両斜め方向(ハの字型)に引っ張るのだ。最後に帯を結んだ後、ゆかたの内側のすそは、三角に折って足を動きやすくする。
介護の仕事につきたい!介護職員初任者研修スクール9日目まとめ
今回で9回目の講義が終わり、残すところあと6回だが、新型コロナの感染予
防のため、明日から約1か月間休校になってしまった。
そのため、1か月後以降にそれぞれ各自で振替受講することになり、全員同時に卒業することができなくなってしまった。
1日360分間、緊張を強いられるハードな内容であったが、みんなで何とか乗り越えてきた。仕事柄かもしれないが、いい人ばかりでずいぶん助けられてきた。ばらばらになって寂しくなってしまうが、
また新しい出会いもあるだろう。また頑張って新しい仲間と勉強を続けてい
きたい。