芥川賞候補作品が掲載されている文學界の2018年3月号と5月号を図書館から借りてきました。読んだ感想をお伝えします。
第159回芥川賞候補作品
いつもこの発表を楽しみにしています。
第159回芥川龍之介賞
- 小谷田奈月『風下の朱』(早稲田文学初夏号)
- 高橋弘希『送り火』(文學界五月号)
- 北条裕子『美しい顔』(群像六月号)
- 町屋良平『しき』(文藝夏号)
- 松尾スズキ『もう「はい」としか言えない』(文學界三月号)
第159回直木賞
- 上田早夕里『破滅の王』(双葉社)
- 木下昌輝『宇喜多の楽土』(文藝春秋)
- 窪美澄『じっと手を見る』(幻冬舎)
- 島本理生『ファーストラヴ』(文藝春秋)
- 本城雅人『傍流の記者』(新潮社)
- 湊かなえ『未来』(双葉社)
第159回芥川賞・直木賞の選考会は平成30年7月18日(水)午後5時より東京・築地の「新喜楽」で行われる予定です。
その場所(東京・築地の「新喜楽」)って、懐石・会席料理、割烹・小料理のお店なんですね。
予算は30,000円からですって、高級店ですね。接待に使わわれるお店のようです。
食べながら選考するのかな?
【感想】第159回芥川賞候補「もう『はい』としか言えない」
2年間続けていた浮気がばれました・・・そこからがものすごく面白いです。この主人公は焦っているんだかどういう心境なのか、面白過ぎます。
頭の中は、
「なにをどこまで、いつから、知っている?」
そんな言葉が木霊しています。
妻が恐ろしすぎるんです。
妻はこういう時には、取り乱さないでこんな対応すればいいんだな♪って教えていただいた気分です。
情報は極力ださない。
それに尽きるのですね。
キレイにばれた浮気が、なぜばれたのか半年がたってもわからないみたいで、ホラーな感じが楽しめました。
主人公の海馬五郎は妻に「無条件降伏」しました。
「……無条件ね。無条件降伏、無条件……」
夫の泣き言を目は据わったままの半笑いで聞くだけ聞いて、妻はその言葉を口の中で飴のように転がしたのち、みっつの判決を下さい。聞いたこともないような事務的な喋り方だった。
「もう『はい』としか言えない」松尾スズキ 著 文學界 P.90より
このあと、さらに彼は『はい』としか言えない状況になります。
その後、こんな出来事はなんて些細なことなんだろう~というような衝撃的なことが起きります。
海馬五郎さんの人生は波乱万丈のようでいて、実は穏やかに歩んでいるようです。
松尾スズキの動画も見つけました。
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松尾スズキさん(1962年12月15日生まれ)は、九州産業大学芸術学部デザイン学科卒業し、劇団『大人計画』主宰されています。俳優、劇作家、演出家、脚本家、映画監督、コラムニストなどで活躍されています。
どうしてこんなにも活躍できるのか!すごいです。
【感想】第159回 芥川賞候補 『送り火』
この土地の綺麗な情景が浮かんできます。ここが特別の場所だからこんなことが繰り広げられてしまうのかと、つい思っていました。
でも、違っていました。
所々で、主人公の歩!そんな対応でいいのか?
ここの場所特有の対応なのか?
といつまでこの話に耐えなくてはいけないのだろうと頭がマヒしながら読みました。
大人もちょっとおかしいんです。
主人公達の担任の先生は、いつもクリーム色のベストを着ていて子供たちのことをしっかり見てくれそうな感じの先生です。
余計なことは口に出さずにしかも見守る感じです。
年は30代後半。
その先生は、昨年度の県東の別の市から赴任してきたばかりです。
同僚に
「他国のスパイが来た」
と揶揄されます。
この地方は、過去に違う藩に分かれていました。裏切った西側の会津藩は未だに相手の土地の人に敵愾心を持っているといいます。
なんて意識が狭いのだろう。小さいところに目が向けられているのだろう。
と思ったのです。
この土地の多くの人が、自分は武士を先祖に持つ偉い人なんだ!というへんなプライドがあるのだろうな。
それが随所に感じられます。
だから、私もこの小説を見失いました。
実際にはよくあるいじめが、歪められていて変な方向に向かっているよに感じたのですが、
どこの世界でも嫌なものは嫌ですよね。
自分のも友達のも尊厳は踏みにじってはいけないです。
ラストでお母さんの顔が浮かびました。
学生に読んでもらいたい小説です。
こちらにも感想書いてみました。
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髙橋弘希(1979年12月8日生まれ)さんは立教大学文学部卒業後、予備校講師として勤務しながらロックバンドにて、作詞、作曲、ボーカル、ピアノでも活動されていました。
2014年には「指の骨」で第46回新潮新人賞を受賞した為作家デビューをされました。
余りにもリアルで映画を観ているような作品でした。
第159回芥川賞候補作品についてのまとめ
まただい59界の芥川賞候補の作品を読んだら感想を書いてみたいと思います。
靜かながら心にずしんとやってくる作品を読ませて頂きました。
自分がいかに偏っていたんだなって思えたのが感想です。
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