【感想】有川浩の『アンマーとぼくら』舞台は沖縄

生活

有川浩さんといえば、甘々な恋愛小説を書いていらっしゃいますが、今回の作品は家族や友情について書かれています。泣けます・・・。これを読んでしまうと、母の日に何かプレゼントをしたくなります。




 

【感想】有川浩の『アンマーとぼくら』

 

沖縄が舞台の激しくて美しい物語です。

ここで紹介されているすべてのスポットに行きたくなります。

 

30歳を超えた僕は、お母さんと、里帰りで3日間沖縄で過ごします。

そんな主人公は、子供の頃の思い出と行ったりきたりまします。

 

小学校4年生のぼくは教師で美しかったお母さんを癌で亡くしたばかり。

札幌の小学校で美人で優しくて学校中の人気者だった先生でした。

そんな素敵なお母さんを忘れられる訳がないじゃないですか。

 

それなのに、ぼくのお母さんが亡くなってから1年もしないのに新しいお母さんの住む沖縄に移り住むことになりました。

 

ぼくのお父さん、お子様すぎて、自分の子どもよりも精神年齢が低いのです。

そんなお父さんは、お母さんの死に耐え切れなかったのです。

お母さんのことを忘れようとして、新しいお母さんとの生活を始めようとします。

 

主人公の”りょうくん”、お母さんとの思い出がたくさん詰まった北海道から沖縄に移り住みます。

 

お父さんに思いっきり反発しても仕方がない環境にいるのです。

ですが、

素敵なお母さんの影響でどんどん生活環境が良い方向に改善していきます。

 

徐々に幸せな家族になっていったのに、

お父さんは死んでしまいます。

 

時は流れ、

りょうくんは32歳になります。

沖縄に帰省してお母さんと再会したところです。

 

「……俺、なんの用で帰ってきたんだっけ?」

「いやだ!」

おかあさんはぷうっとほっぺたを丸く膨らませた。

「おかあさんのお休みにつき合ってくれるって約束したじゃないの。里帰りして、三日間沖縄で過ごすって」

ああ――そうだ、そうだった。

『アンマーとぼくら』有川浩 著 P.9 より

 

 

そうなんです。

 

主人公の大人になった”りょうくん”、自分の今の仕事、など諸々のことが思い出せません。

頭に霞がかかっています。

 

そんな不安な要素が重なり、

読み手は心配しながらページをめくることになるのです。

 

そんなりょうくんですが、

 

おかあさんを大切に気遣ってサービスしたりしています。

これは・・・”りょうくん”・・・。

おかあさんに恋をしているんじゃないでしょうか~。

 

さすがべた甘な恋愛小説がお得意な有川浩先生ですね。

 

読了後になんとも言えない感動に包まれます。

母の日を前に何かプレゼントをしようかなって気持ちになってきますよ。

 

舞台は沖縄”かりゆし58”の歌から作られた小説『アンマーとぼくら」

 

「アンマー」

歌:かりゆし58
作詞・作曲
前川慎吾

美しいメロディーが頭に流れてきます。

『アンマーとぼくら』の小説のPR内容は、

“母と過ごす3日間。恩返しは、今からでも遅くない。”

休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と島内を観光する。
一人目の「お母さん」はリョウが子供の頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。
観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。
かりゆし58の名曲「アンマー」に着想を得た、書下し感動長編!

Amazon内容紹介より

 

主人公のりょうくんのフルネームのように味のある作品です。

数々の女心をくすぐるセリフと、

観光地の見どころが満載なのと、

日本3代がっかりの話など・・・。



 

【感想】有川浩の『アンマーとぼくら』のまとめ

 

乱暴のほどに急いだ再婚も、少しは許してあげられるかもしれないって思っていたのに、

 

3回忌に帰るのを辞めようと説得をする父親に、

りょうくんはキレそうになります。

言ってはいけない言葉を言ってしまいそうになる瞬間に、

小学4年生のりょうくんの目の前に、大人のりょうくんが出ていきます。

突然父親にぶん殴ります。

「こいつに謝れ!」

 

大人のりょうくんが子供のりょうくんを救った瞬間です。

 

 

箱庭療法を日本に最初に導入した河合 隼雄 先生の著書のなかで、

 

子供に殴られそうになったら親は全力で逃げろって教わりました。

子供は親を殴ると傷つくそうです。

子供のために逃げてあげないといけないそうです。

 

言ってはいけない言葉も同じです。

自分で言ったことなのに

子供は傷つきます

自分で言ったその言葉に

子供のりょうくんがそんな経験をしなくて済んで良かった。

大人になったりょうくんナイスです。

あの歌でもこの部分がありますよね

 

アンマーよ
私はアナタに
言ってはいけない
決して口にしてはいけない
言葉を加減もせずに
投げつけては
アナタの心を踏みにじったのに

アンマーよ
アナタはそれでも
変わることなく
私を愛してくれました

「アンマー」歌:かりゆし58より

 

ここで、止めてくれる人が仲介したから、

この家族は救われました。

 

「親父が子供で子供で、お前のことを何気なくたくさん傷つけるって、お母さんは分っていたんだ」

 

そんな劇的なことが起こったその日の夜に、

初めてぼくは晴子さんではなく、おかあさんと呼びます。

 

 さあ行け。それ行けアンパンマン。愛と勇気だ。

「おかあさん、おかわり」

早口で茶碗を突き出す。

『アンマーとぼくら』有川浩 著 P.192より

 

沢山傷ついて、でも楽しい思い出に包まれていたお話しです。

 

家族、幸せに暮らしましょう~~なんて思えます。

 

沖縄の県花デイゴです。

 

 

デイゴ(梯梧、Erythrina variegata)マメ科

 

デイゴは落葉高木です。インドやマレー半島が原産国です。

日本では沖縄県に咲いています。

春から初夏にかけて咲く赤い花が有名(毎年満開とはならないようです)。沖縄県の県花でもある。デイコ、エリスリナともいう。

デイゴが見事に咲くと、その年は台風の当たり年で、天災に見舞われるという言い伝えがあります。

 

冬に全木が落葉することはあまりなく、花が咲く枝が落葉する傾向がある。

琉球大学で学生が配っている合格電報の文面は“デイゴ咲く”。

 

 

最後に、これは一度は見ないとけません。

日本3大がっかり

 

有川浩さんは高知県出身だから、高知愛が大きいから言っても大丈夫なんですね。

 

真のがっかりを舐めるなよ!

初めて守礼門に来たとき、父が何故か勝ち誇っていたのを思い出す。

お父さんは、三大がっかりを全部見た!

北から順に、札幌の時計台、高知のはりまや橋、沖縄の守礼門。しかし、これをがっかり順に並べると、高知のはりまや橋、札幌の時計台、沖縄の守礼門というのが父の持論だった。

はりまや橋のがっかりぶりといったら、そりゃもうすごいんだ。

『アンマーとぼくら』有川浩 著 P.274より

 

ぜひ高知に行ってがっかりしてこないといけませんね。

出掛ける前には、

この本読んでみてください。

 

 

斎場御嶽(セイファーウタキ)

 

主人公は、少年の頃と32歳になってから2度ここを訪れます。

ただただ感嘆するばかりの場所です。

 

沖縄のパワースポットです。

世界遺産に登録されていまうす。

琉球王朝時代には国家的な祭事はここで行われてきました。

 

観光で訪れる際は、常識ある行動をとるように心がけます。

そして、御嶽にあるものは、「何ひとつ持ち帰ってはならない」ことを守ってください。

 

神聖な場所で、

沖縄の風に包まれて沖縄を思いっきり感じて来てください。

 

 

小説より、

 

「沖縄って、内地と神様の祀り方が違うよね。気持ちは同じだと思うけど」

「どういうこと?」

「内地の人は、『神様のおわすところだから綺麗に調えて差し上げよう』なんだよ。だから立派なお社を立てたり、鳥居をたてたり」

「ああ、そうね。内地の聖地は立派よね」

「沖縄の人は、『神様のおわす場所だから、静かにそっとしておいて差し上げよう』って感じがする。だから、人の手も最小限しか入ってなくて」

「そうね、旧いものほどそうだわね」

「でも、神様に対する敬意は一緒っていうか。やっぱり、日本なんだなぁって思うよ。自然の中に神様を見出す素朴な沖縄の信仰は、原初の神道に近いような気がする。もしかすると、沖縄の信仰の方が源流に近いのかもしれないけど」

『アンマーとぼくら』有川浩 著 P.75より

 

 

 

 

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