フーガはユーガは、人気作家
伊坂幸太郎による少し不思議で、そして切ない物語です。
双子の兄弟が持つ「テレポート能力」を軸に、理不尽な世界に立ち向かう姿が描かれます。
私はこの作品を読み終えたあと、思わず3回連続で読み返してしまいました。
それほど印象に残る物語だったのです。
この記事では
- 『フーガはユーガ』のあらすじ
- 物語の魅力
- 実際に読んだ感想
を紹介します。
【感想】伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』TWINS TELEPORT TALE
かなりひどい目にあっている双子の兄弟が、ものすごい境遇なのに淡々と毎日を過ごしています。この話の語り手である常盤優我は、双子の兄の方です。
弟は常盤風我です。
双子の父親はどうしようもないほど暴力的で、母親や息子達を殴ります。
その母親は、子供たちが殴られていても助けてくれません。
味方にはなってはくれず、いつも見て見ぬふりをしています。
最初、この男の子は理不尽な暴力に耐える二重人格なのかと思っていました。
ですが、違いました。
弟が殴れているのをただ黙って見ているしかない毎日を過ごしていました。
助けて!
そう祈る自分がいた。たぶん頭にあったのは、テレビで観るスーパーヒーローの姿だ。最初は普通の人の姿だけど、自分や誰かがピンチになった時にポーズを決め、「変身」と口にする。その途端、一瞬にして姿が、その、正義の味方の格好に変わる。そして敵をばっさばっさと倒してくれるのだ。
『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 著 P.4より
この物語は、ヒーローになりたかった男の子が
実際にヒーローになったお話なのです。
伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』とは
フーガはユーガとはどんな小説なのでしょうか。
『フーガはユーガ』は2018年に刊行された長編小説です。
物語の主人公は双子の兄弟、
- 常盤優我
- 常盤風我
です。
物語は兄の優我の視点で語られます。
彼らは幼い頃から父親の暴力にさらされ、
決して恵まれているとは言えない環境で育ちます。
しかし、ある誕生日の日。
二人の人生は大きく変わる出来事を経験します。
それが
突然の「入れ替わり現象」
でした。
『フーガはユーガ』のあらすじ
優我と風我の双子の兄弟は、
暴力的な父親のもとでつらい生活を送っていました。
弟が殴られているのを見ても、
兄は何もできません。
ただ心の中で
「助けてほしい」
と祈るだけでした。
そのとき頭に浮かんだのは、
テレビで見るスーパーヒーローの姿です。
ピンチになったとき、変身して
悪を倒してくれる存在。
「自分もヒーローになれたらいいのに」
そんな願いを抱いた少年たちに、
ある不思議な出来事が起きます。
それは
双子の入れ替わりによる瞬間移動(テレポート)
でした。
誕生日の日、特定の時間になると
二人は突然場所を入れ替えてしまうのです。
最初は何が起きたのか理解できなかった二人ですが、
次第にこの現象のルールを見つけていきます。
双子のテレポート能力のルール
物語の中で、二人はテレポートの規則性を発見します。
主なルールは次の通りです。
・双子の誕生日
・午前10時10分からスタート
・2時間おきに2回発生する
・服や持ち物も一緒に移動する
・手を握っている人も一緒に移動できる
顔がそっくりな双子のため、
入れ替わっても周囲に気づかれることはありません。
もう少し詳しく説明しますね★
✅双子の誕生日の午前10時10分から2時間おきに2回だけ発生します。
瞬間移動の際には、衣服や飲みものも一緒に移動します。
縄でしばっていたり柱にしがみついていても移動します。
友達と手を握っていれば友達も一緒に移動します。
当時5歳の二人は何が起きたのか分かってはいませんでしたが、
再び、小学2年生のときに、
別々の教室でそれぞれ授業を受けている最中に入れ替わりを経験したことにより、
双子の兄弟は、この不思議な「入れ替わりの瞬間移動」を研究し始めます。
この能力は、つらい生活の中で
二人にとって唯一の楽しみになっていきます。
そして彼らはこの力を使って、
さまざまな出来事に関わっていくことになります。
『フーガはユーガ』の魅力
ヒーローになりたかった少年の物語
この物語を一言で表すなら、
「ヒーローになりたかった少年が、本当にヒーローになる物語」
だと思います。
派手な能力を持ったスーパーヒーローではありません。
けれど、
- 理不尽な暴力
- 社会の不条理
- 悪意ある大人たち
そんな世界に対して、
二人は自分たちなりの方法で立ち向かいます。
それがとても静かで、
そしてどこか切ないのです。
Whoが?―――――Youが。
と背表紙にあるのですが、誰が?あなたが。
そうあなたがヒーローになったのです。
このお話には、一瞬だけ、伊坂幸太郎作品の『砂漠』の鳥居と南が出てきます。
もう一つ
ふうん、と彼らは戴して面白くなさそうに応え、それから、「ユーガって伊藤さんが話してた案山子の名前と似ている」だとか、二人でぼそぼそ喋っていたが、もちろん僕には何の話か見当もつかない。
『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 著 P.195より
これは『オーデュボンの祈り』の伊藤と案山子ですよね。
ファンサービスでしょうか。
「俺の弟は、俺よりも結構、元気だよ」の信頼感のセリフも素敵です。
2人そろえば最強なので
父親の様な人たちをやっつけます。
困難な状況も二人でなら乗り切れるのです。
伊坂幸太郎作品のFAQ
「伊坂幸太郎の作品ってどれから読めばいいの?」「どんな魅力がある作家なの?」と気になっている人も多いはずです。
そこで最後に、伊坂幸太郎作品についてよくある質問をまとめました。
読む前の疑問をここで一気に解決しておきましょう。
Q1. 伊坂幸太郎の小説の魅力は何ですか?
伊坂幸太郎の小説の魅力は、日常の中にある非日常と巧みなストーリー構成です。
一見関係のない人物や出来事が物語の中でつながり、最後に大きな意味を持つ展開が多いのが特徴です。
また、ユーモアのある会話や独特の世界観、正義や偶然をテーマにした物語が多く、多くの読者に支持されています。
Q2. 伊坂幸太郎のおすすめ作品はどれですか?
初めて読む人には次の作品がよくおすすめされています。
- ゴールデンスランバー
- アヒルと鴨のコインロッカー
- 重力ピエロ
- フーガはユーガ
サスペンスや人間ドラマ、少し不思議な要素がバランスよく楽しめる作品です。
Q3. 伊坂幸太郎の作品はどんなジャンルですか?
伊坂幸太郎の作品は、ミステリーをベースにしながらも、サスペンス、ヒューマンドラマ、ファンタジーなどさまざまな要素が組み合わさっています。
特に「偶然」や「つながり」をテーマにした物語が多く、読後に余韻が残る作品が多いのも特徴です。
Q4. 伊坂幸太郎作品はどの順番で読むのがおすすめですか?
基本的に多くの作品は独立した物語なので、どの作品から読んでも楽しめます。
ただし、作風を知るためには代表作と呼ばれる作品から読むのがおすすめです。
例えば
- アヒルと鴨のコインロッカー
- ゴールデンスランバー
- フーガはユーガ
この順番で読むと、作風の特徴がわかりやすいです。
Q5. 伊坂幸太郎作品はどんな人におすすめですか?
次のような人におすすめです。
- ミステリー小説が好き
- 少し不思議な物語が好き
- 人間ドラマのある作品を読みたい
- 読後に考えさせられる小説が好き
伊坂幸太郎の作品は、読みやすさと深いテーマを両立しているため、幅広い読者に人気があります。
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まとめ:伊坂幸太郎らしい優しい正義
この小説は、決して明るい物語ではありません。
幼い兄弟が経験する出来事は、
読む人によってはつらく感じるかもしれません。
それでも私は、この物語を読んで
「報われない物語」ではないと感じました。
むしろ、
やるべきことをやりきった物語のように思えたのです。
神さまに貰った力を正しく使い切ったお兄さんの物語と思えました。
語り手は兄の優我なので、
どうしても読者は彼の視点に感情移入してしまいます。
そして最後には、
「彼は誰かのヒーローになったんだ」
と感じさせられるのです。
伊坂幸太郎の作品には、
- 正義
- 偶然
- 人と人のつながり
といったテーマがよく登場します。
『フーガはユーガ』も同じです。
ただしこの作品では、
正義が大きく語られるわけではありません。
むしろ
淡々とした日常の中にある正義が描かれています。
それがこの作品の大きな魅力です。
最初は読了感が悪かったのですが、
何度も何度も読み返すとだんだんと印象が変わってきます。
是非再読されることをお勧めします。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと。そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと――
『フーガはユーガ』公式HPより
一緒に二人の活躍を語りましょう。



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